【トマト】大玉トマトの露地栽培に挑戦!
目次
ブサウマ!ポンデローザトマト
目の前に広がる、大きなハウスが何棟も並ぶ風景。
虫や病気による被害、天候による作業や生育への影響、長期にわたっていかに収量を確保するか。
やはりハウスの効果は絶大です。
雨量が少なく乾燥している、アンデスの高原地帯出身のトマトも大概ハウス栽培です。
僕には、大きなハウスを建てるお金も場所もありませんので、露地栽培でトマトに挑戦してみました。
選んだのは、日本人好みの最初のトマトと言われる、固定種のポンデローザ。
今回は「光郷城 畑懐」(こうごうせい はふう)さんから種を取り寄せてみました。
この品種、大きいものだと1個500~700gにもなる大玉に育つそうですが、見るからに不格好で形も大きさもバラバラになる品種なのだそうで、普通は皆さん避けますよね…。
ところが「そりゃ面白い!まさに固定種のコンセプト!」というのが百姓ひろば。
ブサイクだけどウマイ!「ブサウマ」なトマトに挑戦してみます。
最近のハウス用F1品種と違い雨に強いので、特に雨よけをする必要はないという謳い文句にも惹かれました。
播種・育苗・定植
『良からんは不思議、悪からんは一定(いちじょう)』
~ うまくいくのが不思議であって、思ったように行かないのが当たり前 ~
とは言え、最初からやらかしました。
2.5寸(7.5㎝)ポットに一粒蒔きで540ポット。
ところが、良かれと思って籾殻を混ぜて実験してみた300ポットがいきなり全滅。
ネズッチ「ダンナ、耕しておきましたぜ!」
そこは耕さなくていいんだよ!何してくれとんじゃ!
杜撰な温度管理
まだまだ寒い時期に種を蒔き、苗を育て始めるトナトやナス。
3月15日に種を蒔き「育苗用ハウスという強い味方がいるんだぜ~」と油断してたらなかなか発芽せず。
2週間以上かけてかろうじて発芽。
もうすぐ5月になろうという時期にもこの大きさです。
イメージとしては5月中旬に、20㎝ほどに育った苗をヤシの木状態に剪定して畝に寝かせ植えするつもりだったのですが、それは無理っぽいです。
温床もなくトンネルもかけず、杜撰な温度管理で育苗するとこうなるぞという、悪い実験例となりました。
しかし、それでも枯れずに生き残ってくれた約200株。
なんだか楽しそうに踊っているようにも見えてきます。
いよいよ畑に定植です。
小さなポット、苛酷な育苗環境にもかかわらず、ここまで成長してくれた苗さんたちに感謝しながら、ついに整備が完了した新たな畑にお引越し。
80㎝間隔で200株の植え付けとなりました。
まずは、特製『ラップ行灯(あんどん)』(※「ナスを作ってみました」参照)で小さな苗を風から守ってあげます。
「ナス科の地上絵」、なかなか壮観です。
生育・開花・着果・収穫
悪名高きネキリムシ
いきなり気持ち悪い写真すみません。
定植後に畑の様子を見回っていると、ところどころバッサリと茎を切られ、土の中に引きずり込まれている苗が。
犯人は「ネキリムシ(根切り虫)」やはり蛾の幼虫です。
昼間は土の中におり、夜になると出てきて地際で根を噛み切ってしまうというやっかいなヤツ。
完全に引きずり込む訳でもなし、その辺りを掘ったらすぐに見つかるという間抜けさは憎めませんが、被害は致命的なうえに事後報告!
幸い10株程度の被害で済んだのでまだマシな方です。
意外と野菜苗よりも、コンパニオンプランツとして育てていたマリーゴールドの方がお好きだったようで、半分以上やられました。
まあ、大量に種を蒔いていたので痛くも痒くもなく、むしろ間引いてもらった感じでしたが。
スクスク育つトマトちゃん
ネキリムシの被害を免れたトマトの苗は、ラップ行灯に守られてスクスクと育ってます。
定植から約1ヵ月で行灯の高さ30㎝を超えてくれました。
支柱上げのために行灯を開放します。
まずは行灯をドンドン撤去していきますが、そよ風でパタパタ倒れます。弱っ!
人が手を加えることによって、こんなにも影響あるんですね。
急いで支柱を準備して麻紐でしばっていきます。
道法正徳さんの提唱する【垂直仕立て栽培】を参考にして、伸びてくる脇芽も全て一本の支柱にしばっていきます。
植物の根は地上部の枝と連動しているため、脇芽かきや「親づる」「子づる」の摘芯をすると、地下の根っこの成長も止まります。
垂直仕立て栽培の基本は、根の成長と植物ホルモンの活性化なので脇芽かき等をしません。
比較実験のため、半分ほどの株では脇芽かきをして単純な一本仕立てに。
その場合も一気に脇芽かきをすると株全体がダメージを受けてしまうので、日をおいて少しずつ行いました。
僕のやり方が中途半端だったこともあり、結果的にはそこまで違いを感じられませんでした。
ただ、株がバテ始めた後半戦もしっかり実を着けていたのは、やはり垂直仕立て栽培の方でした。
根っこの量には明らかに差があったのだと思います。
完熟ブサウマトマト!
6月下旬、ついにトマトの花とご対面。
定植から2か月、あんなに小さかった苗が、7月には立派な株に育ってくれました。
花が咲き始めて間もなく、ついに沢山のトマトの実が着果。
人が定植に必死こいてる時、「こんなんワシらの経験上、1株に1個でも実がつけば儲けもんじゃ!」などと、ありがたいご予言を頂いた自称「農家」さん。
一体どんな経験をされてきたのか、全く興味ありません…。
8月、ついに完熟したポンデローザ。
ドキドキしながら一口…。
な、なんじゃこりゃ、美味すぎるっ!
これぞ「大地の恵み!太陽の味!」まさにブサウマ!
でもそこまでブサイクでもないのでした。
課題克服への希望の光
と、ここまで大成功のような記事になってますが、実はトラブル続出の中でいいとこ取りしただけです。
実際には虫食い、裂果、尻腐れによって、まともな収穫はほとんど出来ませんでした。
写真撮り忘れてしまいましたが、まず被害が大きかったのが「オオタバコガ」の幼虫。
大勢でモシャモシャ食べてました。
やはり成虫の飛来からは守ってあげる必要があるようです。
本当の原因は他にあるのかも知れませんが、可能性として一番考えられるのは「水不足」
7月から8月という一番暑い時期に、1ヵ月以上も雨が降らない日が続いたこの夏。
カルシウム不足が原因と言われる尻腐れ病は、異常乾燥でカルシウムの吸収に抑制がかかってしまったのではと考えてます。
裂果は、皮の部分が中の成長に追いつかないために起こると言われ、異常乾燥後に大雨が降った後の現象でした。
いくら乾燥を好む野菜と言えど、異常乾燥や急激な水分変化にはさすがに対応できなかったのかも知れません。
ここまできて最後の最後、収穫までもう一歩。
必ず答えはあると信じて頑張ります。
ダメ押しは台風。
「25年ぶり非常に強い勢力での日本列島上陸」となった台風21号が9月4日に直撃。
多くの勉強をさせてもらった感謝と共に、片付けに入りました。
自家採種
8月下旬、数は少なくとも、しっかりと育って完熟してくれたトマトを母本に選び、採種できました。
まずはゼリー質ごと取り出し、ビニール袋かタッパーに入れて常温で3日間発酵させます。
水が入らないように注意。
発酵させることにより、ゼリー質がきれいに取れます。
種に由来する病原菌も殺菌されるそうです。
とてもいい匂い。
水洗いし、水に沈んだものだけを取り出して天日で半日、日陰で1週間ほど乾燥。
その後、乾燥剤と一緒にタッパー等に入れて冷暗所に保存します。
この小さな種こそが、大きな希望です。
固定種の最大の利点は次の世代に種を継げること。
しかも親の世代は、自分の育ったその地に適合しながら次世代を繋いでいくために、「土壌」「気候」等の環境の情報をしっかりと次の世代に引き継ぐのです。
この「生命の可能性」にこそ、様々な問題解決の糸口があるのではないでしょうか。
エスクレオサイドA
最期に追加情報です。
トマトと言えば、強い抗酸化作用で有名なリコピンや、バランス良く含まれるミネラル類で注目されますが、つい最近、トマトにしか含まれない新栄養素が発見されたのだとか。
その名もエスクレオサイドA!…戦隊ものみたいな名前。
動脈硬化の要因となる脂質の代謝を改善し、脳梗塞や心筋梗塞を予防する効果が期待できるのだそうです。
赤い色素でわかりやすいリコピンとは違い、無色透明なために今まで発見されなかったのだとか。
あと、加熱しても分解されないリコピンと違い、80℃くらいで分解されてしまうので生で食べるのが良いそうです。
Comment
失敗は成功の元です、人もトマトも失敗が教えてくれます。あなたは出来る人材です、自分を信じて頑張って下さい。